【解説】割増賃金と最低賃金の賃金基準は違う!

2025年10月4日より、ここ北海道地域の最低賃金は1,075円に引き上げられます。
最低賃金の改定に合わせ、事業所で賃金の見直しや確認作業が増えていますが、実務現場で特に混同しやすいのが「割増賃金の基礎となる賃金」と「最低賃金の対象となる賃金」です。
実は、算定時に含める「手当」の種類が異なります。
≪割増賃金の基礎に含めない手当(労基法37条)≫
残業・休日労働等の割増賃金を計算する際、以下の7つの手当は法令により基礎から除外できます。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当 ※
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに払われる賃金(賞与等)
※「住宅手当」は多くの企業で支給されていますが、割増対象から外せる場合・外せない場合(均等一律支給等)もあるため実態確認が重要です。
≪最低賃金の計算に含める手当≫
最低賃金(地域別・北海道)は1時間あたり1,075円(2025年10月4日改定)となり、この基準を下回らないか確認する際は、通常毎月定期的に支払われる基本給や職務手当、住宅手当等の「通常賃金」を合計して算出します。
≪最低賃金の計算に除外される賃金≫
・臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
・1ヵ月を超える期間ごとの賃金(賞与等)
・時間外・休日・深夜の割増賃金
・精皆勤手当
・通勤手当
・家族手当
≪判断を誤りやすいポイント≫
割増賃金で除外できても、最低賃金では原則含めないといけない手当があります(特に住宅手当)。
一方、精皆勤手当は割増には含めますが、最低賃金計算には含めない点も注意です。
≪解説資料・リーフレット活用≫
富山労働局のリーフレットは、図表付きで分かりやすく説明されています。
手当ごとの計算根拠を知りたい場合は参考になります。
「割増賃金の基礎となる賃金」と「最低賃金の対象となる賃金」は同じ?
≪実務アドバイス≫
割増賃金と最低賃金の違いを正しく理解し、社内規程に沿って手当の取り扱い・計算対象の線引きをしてください。
確認ミスは労務トラブルや未払賃金の発生リスクを高めます。
FUJITA社労士事務所では、こうした現場での注意点や最新情報を定期的にブログで発信しています。