職場における転倒防止・腰痛予防対策について~厚生労働省の検討会中間整理案より
◆検討会開催の目的
厚生労働省において、転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会が開催されています。近年、特に小売業や介護施設等を中心に「転倒」や「腰痛」による労働災害が大きく増加しているものの、従来型の災害と同様の対策では十分な成果を上げることができていない状況にあることから、転倒防止・腰痛予防対策の在り方および具体的な対策の方針等について検討しているものです。
つまり、転倒防止・腰痛防止に効果的な取組みの推進に必要な制度等を見直し、新たな切り口による取組みを進めていこうというもので、会社としても注目していきたいところです。
今後、職場における対策の実施体制の強化などの論点も加えて、中間整理がまとめられる予定ですが、7月29日に第3回目の検討会が開催され、次のような中間整理案が示されています。
◆中間整理案の骨子
○安全衛生教育の在り方など
・労働者への雇入時教育等の安全衛生教育やその責任者への教育については、業界の実態も踏まえ、一定時間の座学等の既存の手法にとらわれず、アプリ等も活用した効率的・効果的な実施方法を提示していくべき。
・取組みが進むよう、ナッジの活用等行動経済学の観点からの研究を進め、手法として取り込んでいくべき など
○労働者の健康づくり等
・事業場において理学療法士等も活用して労働者の身体機能の維持改善を図ることは有用であり、国はそのための支援体制を拡充するべき。
・骨密度、「ロコモ度」、視力等の転倒(・腰痛)災害の発生に影響する身体的要因のスクリーニング(リスクを自覚させること)も必要(前提として労働者の不利益取り扱いに繋がらないような仕組みが必要) など
○中小企業等事業者への支援
・労働力のさらなる高齢化を見据え、身体機能の低下を補う設備・装置の導入等について、中小企業等事業者を国が引き続き支援していく必要がある。
厚生労働省「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会 第3回資料」